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by shizuku0511
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ドラマ「白虎隊」を見た。

 ドラマ「白虎隊」を見ました。
 私,史実の土方歳三さんは好きですが,
 会津戊辰戦争については,余り詳しくないんですよ。 

 正直,「白虎隊」についても,飯盛山で自決した程度の知識しかなく,
 なぜ今,この時代にこのテーマでドラマをやるのか,始めは疑問でした。
 そして,実際の「白虎隊」のメンバーは,
 16~17歳の少年たちで構成されていたにもかかわらず,
 なぜもっと年上のジャニーズのメンバーが演じるのか,も疑問でした。
 彼らの鼻にかかったような現代声が,
 時代劇にはいまいち合わないのでは,とも思っていました。
 私個人的には,池松壮亮くん辺りの方が合っているのでは,と思っていましたから。

 でも,自ら命を絶つ子どもたちや,我が子を虐待するという事件が増え,
 命の重さについて考えさせられる現代にこそ,
 義のために生き,散っていった彼らのことをドラマにする必要があったのではないか,
 ジャニーズのメンバーが演じることで,
 現代の若者たちに何らかのメッセージを与えることができるのではないか,と思いました。

 ですので,私はこのドラマを,歴史の再現ドラマとしてではなく,
 時代劇ではあるけれど,現代風にアレンジされた時代劇として見ることにしました。




このドラマを見て私に伝わってきたメッセージ,
 それは,
 母と子の絆,生きるということ,戦争はいけない,ということ。
 これらは,このドラマを見ることで,十分に伝わったと私は思います。

 母と子の絆。
 親が子を思う気持ち,そして,子が親を思う気持ち。
 主人公酒井峰治の母は,
 息子が,病弱な自分に未練を残さず,
 藩のために立派に戦い,立派に死ぬことができるよう,冷たく接します。
 でもそれは,
 やがて戦場で自分よりも早く命を散らせてしまうであろう我が子に,
 より愛情をかけてしまう自分への戒めでもある。
 誰だって,我が子を死ぬために育てるわけではありません。

 戦場へ向かい我が子のために,金子を持たせる母たち。
 「弔い代」だと言いながら,心の中で
 子どもの無事を願い続けている気持ちが,伝わってきました。

 それぞれがそれぞれの家族を思う気持ち。
 大げさな演出ではなく,小さな仕草や小道具に,
 家族の絆,愛情が感じられました。

 生きるということ。
 峰治の母は,峰治にこう言います。
 「立派な死ぬということは,気品のある死に方をすること。
 それは,気品のある生き方をした者にしかできない。」
 
 藩のため,殿のために,必死に戦い,短い命を散らせていった
 白虎隊の隊士たち。
 彼らは,決して死ぬために戦っていたのではなかった。

 前半の日新館での明るい日々と対照的に,
 後半で,悪天候の中,じりじりと追いつめられながらも必死に戦っていく様は,
 映像によく表れていたと思います。

 悪天候と形勢不利の中,隊長とも離ればなれになり,
 必死に城を目指して戦っていた彼らがたどり着いた飯盛山から,
 炎上している城下を目の当たりにしたときの気持ちは,
 いかばかりだったでしょうか。
 守るものがなくなってしまったと感じた彼らは,結果として死を選ぶわけですが,
 それは,誰かへの当てつけでもなく,
 生きることへの絶望感というよりはむしろ藩と殿に殉じ,
 「忠義」のために死を選んだように思えました。

 そして,彼らとはぐれ,結果として生きることを選んだ,峰治。
 その「生」へのきっかけは,ほんのささいなことでした。
 飼い犬,起きあがりこぼし,にぎり飯,青空。
 
 城へ戻った峰治は,母にこう言います。
 「峰治は,死に値する働きができませんでした。
 だから,生きて,生きることに値する働きをします。」

 また,ドラマの最後に,伊東四朗演じる峰治の子孫がこう言います。
 「よく生き,よく死ぬこと。
 それを後世の人間に伝えられたら,それだけで生きた意味がある。」

 生きることは,楽しいことばかりではありません。
 でも,一生懸命生きたならば,それはそれだけで,意味のあることなのです。
 決して,無駄な命などないのです。

 戦争はいけない,ということ。
 西郷頼母の妻,千恵子のシーン。
 「ご家老様は腰抜けだ」と言う幼い子供に手を出させ,その手を叩き,
 「戦は,これよりももっと痛い思いをして死ぬのです。
 大人も子どもも,血を流します。
 ご家老様は,それを止めようとおっしゃった。
 それは,腰抜けとは違います。」
 戦とはどういうものなのか,小さい子にも分かりやすい表現だったと思います。

 それから,前半,何処で誰が発した言葉は忘れてしまったのですが,
 「戦によい戦も悪い戦もない。」
 という言葉。
 本当に,そうだなあ,と感じました。 

 降伏を決意した後の,容保公と家老たちの言葉。
 「世の中は理不尽なもの。
 人の嫌がることを誠心誠意やった者が,むごい目にあう。
 裏切りや卑怯なまねをしても,いい目をみることが分かった。
 しかし,そういう者どもが,いつまでもいい目に合うとは限らない。」
 これは,今現在,いじめをしている子どもたち(大人たちにも)の心に,
 少しは響くのではないでしょうか。

 ドラマの最後は,冒頭と同じく,
 現代に生きる白虎隊士子孫が登場しますが,
 冒頭では無表情に見えた彼らに,明るい表情が現れたように感じました。

 描き方にはいろいろ思うこともありましたが,
 過剰な演出で,単なる「お涙頂戴物」になってはいなかったように感じました。
 かえって,CMの方が「お涙頂戴物」になってた気がします。
 CMのナレーションも,何だか本編と合ってなかったような。。。

 ロケが多かったのも,リアル感を出していてよかったと思います。
 それから,小道具について。
 歴史ドラマでいつも思うのが,紙や白衣などが,
 戦場ではあり得ないくらい真っ白なこと。
 今回,鶴ヶ城に掲げられた「降参」の白旗は,
 汚れた布や,絹が混じっていて,
 リアル感があってよかったと思います。
 
 最後に・・・
 私がこのドラマを見ようと思ったきっかけは,
 ケルティック・ウーマンのテーマソングなんですが,
 (いい曲なので,CD購入しちゃいそうです)
 ドラマを見終わった今,この曲より
 儀三郎の子守唄の方が耳に残っているのは,な~ぜ~???
by shizuku0511 | 2007-01-08 22:44 | TV番組